『‘心・技・体’の‘心’』

稀勢の里が相撲ファンを惹き付けてやまないのは、久々の日本人横綱誕生に最も近い力士だからだけではない。そのガラスのハートに手を差し伸べてやりたくなるからなのだ。
あれだけの恵まれた‘体’を授かり、自分の型にハマれば白鵬さえも土俵の外へ出せる‘技’を習得し、格闘家として充分な迫力を醸し出すルックスを面に乗せながらも、‘心’が繊細なビードロのような力士である。

その象徴が昨日の碧山戦だ。
立ち合い待ったをしてから、稀勢の里のビードロはペキペキと音を立てて壊れ始める。体がカッチカチに固まってしまい、全身の血流が滞ったような違和感を漂わす。自分のタイミングを取り戻そうと焦れば焦るほど、緊張感の全くない碧山のペースに合っていく。この数秒間、国技館の空気が静寂に包まれてピーンと張り詰めた。

そして最も悪いタイミングで立った。
案の定、ガチガチの体では反応できず、碧山に一気に持って行かれて2敗目を喫した。

初日からそうだったが、稀勢の里の動作や表情を見ていると、まぁ~気にし過ぎ!の一言に尽きる。
控えから土俵に向かう時にも摺り足を意識して入場してくるし、土俵下では常に腹式呼吸を意識して口を尖がらせている。全ての所作が、落ち着こう落ち着こうと気にし過ぎているように映っていた。

自分に置き換えて学びの材料とするならば、私にとっては声の出方だろう。
声が商売道具ゆえ咽を壊さないように壊さないように、気にし過ぎる自分を発見する。それがサプリメントの過剰摂取だったり、声帯ストレッチの過剰負荷だったりする。

‘何も考えず自然に任せきる、そして後は肉体の反応に委ねるのがベスト’という自分への教訓を、今場所の稀勢の里が教えてくれているようだ。

ありがとうございます、感謝。今日からの中盤戦での取り組みから目が離せない稀勢の里の存在。
ありがとうございます、感謝。早く怪我を治して来場所こそ大勝して欲しい大好きな妙義龍の存在。
ありがとうございます、感謝。ピン芸人としての天職に様々な気付きをくれる大相撲中継の存在。

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