『寛美先生の残された言葉』

「芸は水に文字を書くようなものだ。書き続けないと見えない」
故・藤山寛美先生の残された言葉だ。

私は常々書いているように‘研修講師’というより‘ピン芸人’だとアイデンティティを抱いているので、‘講演’や‘研修’というより‘芸事’を毎日させて頂いているつもりだ。ゆえに‘講師スキルを高める’というよりも‘芸を磨きたい’については異常なほどモチベーションが高いと自負している。

その芸事は理論ではなく実践なのだと、仰っているような寛美先生のお言葉である。つまり、本を読んで理論を構築して頭デッカチになるのではなく、毎日舞台に立ち続ける(もちろん毎日稽古し続ける)ことこそが、芸を磨く最高の環境なのだとの意味であろう。

ギャラの安い案件を断っていた自分を猛省しないといけない。私は‘スーツを着た日雇い人夫’なので身体は一つ。同じ動くのなら案件によっては3倍ほどギャラの開きがある中、日程が安く押さえられるのに抵抗があった。

しかし寛美先生のお言葉で、‘文字を書き続ける’ことが大切なのだ、ギャラに関係なく舞台に立ち続ける環境こそが自分の芸を磨く事なのだ、と感じられた。

舞台に立つことで芸人は生きていける。
舞台に立つことで芸人は自らを磨ける。
それを続けていかなければ、水の中で消えてしまう。
ギャラを追いかけず、舞台の本数を追いかけよう。

ありがとうございます、寛美。いや、感謝。タイムリーに蘇ってきた名人のお言葉。
ありがとうございます、感謝。常に揺れ動く自らの心の軸を微調整できた機会。
ありがとうございます、感謝。水のように移ろいやすく消えやすい危うい仕事で生計を立てているスリリングな人生。

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