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「たたりじゃぁ〜、たたりじゃぁ〜。八つ墓明神のたたりじゃぁ〜」と叫びながら松明(たいまつ)を持ち、頭にロウソクを立てて村中を走り回る老婆の姿は、中学生だった私の脳裏に鮮明に刻まれている。 横溝正史の小説は中学時代にほとんど読んだが、映画化された作品中、オドロオドロしさでは‘八つ墓村’がかなり上位に入る。 その八つ墓村に出てくる老婆が平成に蘇ったのではないかと見まごう存在が南森町にいた。 美味いカレー屋にいた。 友人がメールをくれた。 「浦上さん、昼の11時くらいに南森町に来れる日あります?ムッチャ美味い幻のカレー屋があるんですわ」と。 事前情報によると、月水金だけしか店を開けないそうで、老婆が一人で無愛想にやっているカウンター7〜8席だけの店との事。 マスコミ取材を一切拒否しているにもかかわらず口コミで評判になり、11時の開店と同時に行列が出来始め12時半くらいには‘ご飯が無くなった’との理由で店じまいするらしい。 味は究極の辛さで、初心者は完食できない人が多いらしく、カレーマニアの私に挑戦状を叩きつけるかのごとく声をかけてくれた。 早速友人と待ち合わせて足を運んだ。 案の定早くも行列で、道沿いに20人ほどが既に並んでいる。しかし回転は早く、数分待ってすぐに入る事が出来た。 一番奥の席で、タレントの松尾貴史が汗だくになって喰っていた。 彼が昔‘キッチュ’の芸名だった頃、私は良く似ていると言われたので親近感がある。 しかし、今は松尾貴史どころではない。幻のカレーにあと数分でありつけるのだ。 八つ墓村の老婆が一言も発することなく黙々とご飯を盛り、牛スジ肉を乗せ、大胆にルーをぶっ掛け、皿の端やカウンターにルーがこぼれるのもお構いなしに仕事に励んでいる。 客も心得たもので、何も言わなくても座っただけでカレーが出てくるのを待っている。 ただ、ナマ卵を頼んだ場合はカレー中央にスプーンで穴を開けて‘卵ホール’を作らないと老婆が叱るらしい。 サッサッと卵ホールを作った客に老婆が黙ってナマ卵を落とし込む。 まるでどこかの工場ラインの流れ作業のように、老婆と常連客の共同作業が展開されていく。 私の前にドンと差し出された。 鼻の粘膜が香ばしい刺激を受け、胃袋がグゥ〜〜、キュルルル〜〜と物欲しげな音を立てた。 口の中に充満し始めた唾液をゴクリと飲み込み、スプーンを差し込みパクリとやった。 その瞬間、「キタ〜〜〜ッ!」と味の快感が私の脳内を突き抜けていった。 性的な快感に近いような、極細・貧乳・小顔・小ゲツ・色白・童顔・ショートヘア・八重歯・口元にホクロの女性を抱いた時のような心地良さが脳内を駆け巡る。 胃袋と脳内の食欲中枢を繋ぐ神経が落雷を受けたかのような高速スピードで、あわただしく情報交換を始める。 ‘美味いッ!これは美味いッ!この辛さと深みは喰った経験がないッ!とにかく美味いッ!辛いッ!殺人的やッ!もうどないでもしてくれッ!私の身体を好きなようにしてッ!’とシャウトに近い情報が胃と脳を繋ぐ。 もちろん完食は言うまでもなく、ルーのおかわりまでした私の舌を唸らせるに充分な味だった。 数リットルの噴き出す汗を拭き、カレーとの格闘を終えた私は大満足だった。 事前期待を遥かに上回る絶品を提供している猫背の老婆が頼もしく映る。 店の名前もハチとくれば、やっぱり八つ墓村やんけ〜。 ありがとうございます、感謝。嬉しい情報をタイムリーに届けてくれた友人の好意。 ありがとうございます、感謝。しばらく通う事になりそうな南森町の路地裏。(こんなに美味いカレーが喰えるのも健康あってこそじゃ。頑丈な肉体に感謝を忘れてはイカン) ありがとうございます、感謝。辛さでは軍配の上がるCoCo壱番の10辛。(あれは‘辛い’というより‘痛い’) |
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実に楽しみです。 |
安達 2008/11/03 00:47 |
安達さん、コメントありがとうございます。 |
浦上俊司 2008/11/03 09:41 |
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