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23歳の頃にリクルートブックという新卒学生向けの就職情報誌を売っていた。もちろん本そのものを店頭に立って売っていたのではない。 全六巻の百科事典のような情報誌を段ボール箱に詰めて、学生に無料配本するシロモノだったので、私たち営業マンの仕事は採用予定の企業様から莫大な広告掲載料を頂くことだった。 そして学生が入社したくなるような求人記事を製作マンと一緒に作る。 私は営業での無差別飛び込みアタックも好きだったが、受注後の取材も好きだった。 コピーライターさんをお連れして、人事部長や社長のお話を聞く。撮影が入れば、カメラマンさんも同行してインタビュー中のいい画を撮る。 営業マンである私は、とにかくその場が和むように「はぁ〜、そうですか、そうですか。素晴らしいですね〜。なるほど、なるほど〜。」と話題が広がっていくように相槌を打って雰囲気作りをしつつ進めていくのだ。 数日後にアップしてきた生原稿を見て、いつも感心と驚きを覚えたのがコピーライターの筆力だ。 私も一緒に同席して聞いたはずの社長や部長の話が、素人が喋ったとは思えんような迫力が行間に宿ってアップしてくるのだ。 決して誇大表現ではなく、それでいてやや膨らんだ言い回しを加えた等身大の脚色だ。 当時憧れた筆力を盗もうと心がけた習慣が、私の今の文章好きに発展していったのかも知れぬ。 26歳の頃にクラボウという会社に転職をして、研修プログラムを売っていた。 自分が受注した研修には、会場の後ろで事務局と称して必ず参加した。 前で喋っている講師の話を盗もうと心がけた習慣が、私の今の職業に発展していったのかも知れぬ。 30歳の頃にフルコミ(完全歩合給)の訪問販売の世界で中学生向けの学習教材を売っていた。 個人宅の飛び込みの試練を味わったのと、厳しい環境の中でどうすればコンスタントに数字が上がるのかを研究した習慣が、私の今の営業マン研修のネタに発展していったのかも知れぬ。 最愛の父を亡くす時、私がベットの父に言った自分の言葉、「お父さん、僕の人生は今まで色々あったけど、無駄な事は何ひとつも無かったと思うねん。全部身に付いてると思うねん。その時々でアドバイスをくれてありがとう。」を思い出した。 父が亡くなってからの私の人生の方が色々とあったのだが、全ての事は無駄な修行ではないということを改めて実感した今日だ。 有り難う御座居ます、感謝。今までもこれからも必要な事だけが起こる人生。 有り難う御座居ます、感謝。どんな道もやがて一本に繋がっていくという人生。 有り難う御座居ます、感謝。自分の目で見たもの、自分の耳で聞いたもの、自分の肌で感じたものを語れる私の商売。 |
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