熱血研修講師〜浦上俊司の『感謝ブログ』

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help リーダーに追加 RSS 『タクシードライバー』

<<   作成日時 : 2005/08/05 07:06   >>

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タクシーに乗った。
後ろから見るドライバーの左顔面に見覚えがあった。
記憶の片隅に埋もれているパズルをはめたくて、必死に思い出そうとするが出てこない。

ドライバーはそんな私の逡巡など気にも留めず、真正面を向いて黙々とアクセルを踏んでいる。
あまり話し好きなタイプではないらしく、行き先だけ聞くと、後は何も話し掛けないでくれと言わんばかりの‘会話拒否オーラ’がハンドルを握る後姿から漂ってくる。

記憶のウズウズを早く処理したくて、助手席の前に立てかけてあるドライバーの顔写真を見た。
タクシー会社に入社した頃は、彼は丸坊主だったらしく、ニコリともせずカメラを睨み迫力満点で写っていた。
記憶の端にある会った事のあるはずのドライバーのイメージがさらに遠のいていく。
そんな‘恐い系’の職業ではなかったはずだ。やっぱ人違いか・・・。やっぱ他人の空似か・・・。

数十分が経った。
数キロ走った。
町並みの風景に楽器屋の看板が目に入った・・・。

その時、記憶のジグソーパズルがピッタリと、はまった。

彼はピアノ奏者だ。

10年以上前、私が結婚式の司会業で喰っていた頃(あの頃は毎週土日だけで3〜4本の披露宴をこなしていたなぁ)、たまにご一緒したピアノ奏者だ。
当時は結婚披露宴には、プロ司会者とセットでBGMはピアノ奏者が入っていた。

いい仕事をする人だった。
新郎新婦の動きに合わせ違和感なく、そして‘音’が必要以上に自己主張することなく、会場全体を穏やかに‘音色’で包み込むことができるスキルを持った奏者だった。
楽器には全く疎い私には、彼の指先が叩く鍵盤から奏でられる‘音のマジック’に畏敬の念を抱いていたものだ。

この数十年で、一体何があったのだろう・・・。
もちろんタクシードライバーは立派なお仕事だが、彼の腕前なら披露宴の仕事が減ってもピアノ教室とか、夜のバーのBGM奏者とか、音楽畑で喰っていけただろうに・・・。

人生の栄枯盛衰の一端を垣間見た。
結局、私は降りるまでドライバーに語りかけることなく降車した。丸坊主の理由を知りたい衝動を押さえつつ。

ありがとうございます、感謝。一方的だったが数十年ぶりの再会。
ありがとうございます、感謝。数十分で数十年の出来事が蘇ったこと。
ありがとうございます、感謝。行列待ちせず乗れたタクシー。

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